私たちのような製造業の仕事を、この頃はモノづくりと呼ぶようになりました。
モノとは、実体があって手触りのあるもの、それに相対するものはバーチャルということになるのでしょうか。
ネット上で情報を作り出すことの簡単さに比べれば、モノづくりは手間暇がかかります。
でも私は、モノづくりは人間にとって無条件に楽しみや喜びであると思っています。
頭と五感と手足と、そして道具を使って何かをつくることは、人間の本能的な願望だとも思います。
で、それを職業としてやるとなると、いろいろな矛盾に苛まれることになるわけですが、それでもやはりそこに基本的につくる喜びがなかったら、良いモノは出来ないと思うのです。
小さなものから大きなものまで、何をつくっている人にもそれぞれに楽しみや喜びがあることは、パン屋というモノづくり商売をしている私にはよく分かります。
だからというわけではありませんが、食工房の一角で知り合いの作家たちが作った衣類や陶芸品、木工品などの雑貨を展示販売しています。
どれもこれもそれぞれに作者の人柄が凝縮していて、手に取ればもちろんのこと、眺めているだけでも喜びが伝わって来ます。
つくった人の心を宿したモノに巡り会えることは、それをつくることと同じくらい大きな喜びを得られる、そんな気がしています。
皆さん、どうぞ価値あるモノたちに会いにお出ください。
工房 「かし」 山脇 隆 作 東急ハンズ大賞展 マインド賞受賞者