月別アーカイブ: 2008年4月

ご来店ありがとうございます。



ご来店ありがとうございます。


このところすっかり暖かくなったからでしょうか、昨日も今日も、お客さまが多勢見えています。
けっこう遠方から足を運んでくださった方もあり、本当にありがたく、心より感謝申し上げます。

この地で商売を始める時、「本当においしいものがあるとなれば、お客さまはどこからでも訪ねて来るよ。」と、何人もの方からアドバイスをいただいたものですが、実際に来ていただけるということが、どれほど貴重でありがたいことであるか、身に染みて分かったのは始まってから後のことでした。
開店5年目、インターネットデビュー2年目の今年、やっと少し手応えのようなものを感じています。

思い返してみると、当初の仕事はまだまだ素人っ気が抜け切らないレベルだったような気がします。
それがこの頃になってやたらと恥ずかしく思える、その分だけ成長したと言うことなのかと、噛みしめているところです。
二人の娘たちも、「楽しくお手伝い」から、責任を感じてする仕事というスタンスに変化して来ました。
それにしては、私はまだ1円の給料も払っていないので、何とかしなくてはとそれも今年の課題です。
そんないろいろな想いを実現するためには、先ずは体力、それから気持ちの良い心、つまり自分自身のコンディションを最善にしておく心がけだと思っています。
そして皆さまには、ますますのご愛顧を賜りますよう、改めてこの場を借りてよろしくお願い申し上げます。

  本日の食工房
おかげさまで、クッキー類が品薄になり始めましたので、急いで在庫拡充を図っています。
今日は、どろんこクッキー、山の子クッキーを焼きました。
それから、アールグレーティーケーキも焼きました。
明日は、スコーン2種類とアプリコットケーキです。
ゴールデンウィークを控え、また忙しくなりそうです。

ナッツクッキー



ナッツクッキー
カリカリ、コリコリ、噛むほどに、
香ばしい香りがお口の中に広がります。


今日はパン焼きの後、少し余裕がありましたので、ナッツクッキーを焼きました。
このところのバター不足で、バターを使うメニューは、優先順位をよく考えてから着手するようにしています。
ナッツクッキーもバターを使いますが、食工房では売れっ子で品切れさせたくありませんので、優先メニューの一つです。
このクッキーがおいしい秘密は、三種類のナッツのミックスレシピにあります。
※ミックスナッツの記事があります。<参照>
あと、微量ですがスパイスを使います。

仕込みは、まず生地をこねて丸い棒状に成型し、冷凍にかけます。
しっかり凍らせておいて、後日それを包丁で木口切りし、天板に並べて焼きます。
オーブンに入れてしばらくすると、バターとナッツの香りが合わさって漂います。
自画自賛になってしまいますが、本当にいい匂いです。
焼き終わった後、ちょっと焦げてしまったのを拾い出してコーヒーのお供にするのが、つくり手ならではのちょっとした楽しみです。
計量の包装の後にも半端が出ることがあり、そちらはもっと楽しみです。
コーヒーには、一番良く合うクッキーです。

オイソガ氏の昨日今日

商売をしている者にとって、忙しいことは、まことに結構なことと言わなければなりません。
私個人としては、本当は忙しいのは勘弁してもらいたい気持ちが半分ありますが、それでは生活出来ませんのでバランスが取れれば良しと思っています。
今週の私は忙しさの渦中で、その名も「オイソガ氏」にふさわしい昨日今日でした。
昨日は、みっちりとパン焼きで日が暮れ、今日は午前中にマフィンとスコーンを焼いて包装荷造りして、午後から会津若松市方面に配達に回りました。
今日は雨模様で、水に濡れた春の風景は、どこもかしこも車を止めてしばし見とれていたいくらいでしたが、そうもしていられず、おまけにカメラを持ち出すのを忘れてしまいましたので、大変くやしい思いをしました。
それでも配達の往き帰りに、こんな風景を眺めながら車を走らせられるのですから、十分贅沢ってものかも知れません。
おかげさまで、配達の方は回を重ねる毎に軒数が少しずつ増えて、本当にありがたいことなのですが、今日はいろいろ欠品が出てしまい、あちこちで申し訳なく頭を下げ通しでした。

  一昨日の早とちり
それでまたオイソガ氏は、一昨日は早とちりで、「習刊コーヒー通信」にとんでもない記事を書いて、お恥ずかしい限りでした。
コメントでもおわびを入れておきましたが、改めて訂正させていただきます。
喫茶店の喫は、喫煙とは関係がないというのが正しいです。
喫は、口にする、飲むの意で、常用では訓読みがないらしいですね。
それにしても、喫茶店はタバコを吸う場所という印象があまりにも強かったのは事実です。
何しろ、子どもが一人で行ってはいけない場所でしたから・・・。

コーヒー一杯のお値段



もう何度もご紹介している
駅カフェの店内


今、喫茶店で飲むコーヒー一杯のお値段は、いくらと言えばいいのでしょうか。
昔とちがって、お客さまのニーズつまりコーヒーの飲み方もいろいろ多様になり、それに合わせて喫茶店の形態も多様化しています。
ところで、話しがちょっと脇にそれますが、喫茶店の「喫」は喫煙を意味していることは、どなたもご存知と思います。
近頃は、タバコの有害性への認知が徹底したからでしょうか、公共の場所はすべて禁煙が原則となりました。
飲食を提供するお店も、今やほとんどが禁煙です。
喫茶店という類別は、どうやら意味がなくなってしまったようですね。
だからでしょうか、「カフェ」とか「茶屋」という呼称が流行っています。
確かに、店名に喫茶〇〇とあって中に入ると禁煙というのでは、チグハグな感じがしますね。
それでついでに思い出しましたが、「純喫茶」という類別もありましたね。
こちらは、飲食営業許可上の類別で、一般食堂とちがって、コーヒーや紅茶など飲み物だけを提供する店ということで、厨房設備も簡易なもので良いことになっています。
いずれにしても、タバコの煙の苦手な私にとっては、どこに行っても原則禁煙の方が、安心でありがたいですね。
と言うわけで、喫茶店ではなくカフェで飲むコーヒー一杯のお値段の話しに戻りましょう。
それで、お店が多様化したと申し上げましたが、当然コーヒー一杯のお値段も多様です。
ファーストコーヒーでは、100円台があるかと思えば、何から何までこだわりの超個性派カフェでは、一杯1000円超のメニューも珍しくありません。
そうは言いつつ、だいたいほとんどのお店のコーヒーは、一杯300円から500円超くらいの範囲にあるのじゃないかと思いますが、純粋に飲み物としての材料原価からすると、ずい分高いと思われるかも知れません。
でも、カフェは各々、一杯のコーヒーと共にそのお店ならではのくつろぎの時間と空間を提供するわけで、そのための店内設備や家具調度、食器や器具などに、お金と手間ひまをかけているのですから、コーヒー一杯のお値段の中身は、むしろその部分に払う代価の方がウェイトが大きい、と考えた方が当っています。




二階にギャラリーがあり、
食事も出来る、茶房びおとーぷ


近ごろは本当にいろいろなスタイルのカフェがあって、食工房のコーヒーをお付き合いいただいているお店も、それぞれ皆、異なるスタイルの素敵なお店ばかりです。
そして、それぞれのコーヒー一杯のお値段の中に込められたプラスαは、それがあるからこそわざわざ訪ねたくなる魅力なのです。




散策が楽しい美坂高原の中、
向うの赤い屋根が空色カフェです。



会津平らを見下ろす素晴らしいロケーション
ハーブガーデンもある、「けむりの木」



仙台にある、民家をそのままカフェにしてしまった、
「グラティチュード」


それぞれのお店に関する記事があります。
店名でブログ内検索してみてください。
あと一軒、「くさの根」さんは、残念ながら画像がありません。
またそれぞれのお店の記事を、新たに書いて行きますのでどうぞお楽しみに。

すみれの花咲く頃


定休日の今日、ありがたいことにいいあんばいで、ポカポカと暖かい陽射しの下で、午前中は雪囲いを外したり、自動車のタイヤを取り替えたりしました。
それでも、「この暖かさならきっと・・・」と思い、いつもの場所(と言っても、半径50メートルの中ですが)に行って見ると、予想通りすみれの花が咲いていました。

うす紫の、まさにすみれ色の可愛らしい花を見るたびに、私が決まって口ずさむメロディーは、あの「すみれの花咲く頃」です。
私が子どもの頃には、もう何度か耳にした覚えがあるこの歌は、1930年(昭和5年)に宝塚歌劇団で歌われた歌だそうです。
私が知っている一節は、


   すみれの 花咲く頃
   始めて 君を知りぬ
   君を思い 日ごと夜ごと
   悩みし あの日の頃
   すみれの 花咲く頃
   今も 心奮う
   忘れな君 我らの恋
   すみれの花 咲く頃


これだけでしたが、この記事を書くに当って「すみれの花咲く頃」でネット検索して見たところ、NHKのドラマのことが冒頭に出て来たり、歌詞はもちろん、試聴も出来るし、まあにぎやかなこと!私は、何も知りませんでした。

ところで、すみれは可憐な姿からは想像出来ませんが、とても生命力の強い植物で、やせた土地を好んで生息しています。
山道や川沿いの土手に行くと、わりあい簡単に見つけることが出来ます。
野生のすみれにもいくつか種類があるのですが、互いに交雑して次々に亜種が生まれるので、正確に種を特定するのが難しいです。
ここに咲いているのは、多分「タチツボスミレ」で間違いないと思います。
すみれの花を見つけて、元気をもらったような気になりましたので、午後から買い物に出るついでに、春を見つけに回り道をして来ました。

会津平らと呼ばれる平野部は、川がいくつもあって、蛇行を繰り返しながら合流するので、川沿いの眺めはどこでも本当に絵になります。



まだまだ、ほとんど知らない所だらけですが、今日一番気持ちの良かった所の写真です。
私は、こういう場所に立っているだけで、だんだん元気になって来ます。

菓子づくりは、夢を売る商売





食工房のお菓子たち



数ある食べ物の中でお菓子は、体の養いにどうしても必要なものではありませんね。
でも、なければ何かさみしいと言うか、味気ないと言うか、大きな楽しみが一つ欠けてしまうような気がします。
私は、お菓子は、例えば絵や音楽や詩歌のように、心に利くもの、人の心に夢を与えるものだと思っています。
だから、菓子づくりは、夢を売る商売です。
そして菓子づくりに必要なのは、材料や道具や技術の他に、もう一つ忘れてはならないエッセンス、つくることそのものを楽しむ遊び心です。
それらがうまくバランスして、気持ち良く仕事が出来た時、お菓子は食べる方の心に夢を運び、喜びの感情を湧かせます。

そうです!

荒んだ心では菓子づくりは出来ないし、する気にもなりません。
そういう意味では、菓子づくりは、毎日毎日、自分の心の中を問われる仕事だと思っています。
夢を売るためには、先ず自分の心の中にその種をいっぱい蒔いて、育てておかなくてはなりませんね。
そのことの方が、お菓子をつくること自体よりも、むしろ大切なことかも知れないと、この商売をするようになって気づかせてもらいました。


  


  お店の前にも、やっと花が咲き始めました。
店の前の道路沿いの一角に、連れ合いが花壇を丹精しています。
これから次々と、いろいろな花が咲いて楽しみなのですが、このニ、三日の間に、ラッパ水仙がほぼ満開になりました。
店の前から少し先の土手まで、道路沿いに水仙の花の黄色と葉の緑に埋まっています。

人足(にんそく)

今日は、我が集落各戸から一人ずつ人が出て、集落内の道路周りの清掃と整備をやりました。
人足(にんそく)は、田舎の集落ではどこにでもある、風習あるいは制度みたいなものです。
自分たちの生活環境を、自分たちの手で保守管理していく姿勢は、田舎暮らしの基本中の基本であるということを、私は、ここで生活するようになって学びました。
実は昨年のこの時期、始めたばかりのブログの記事に、この人足のことを取り上げています。 <参照>
で、今年は、昨年よりも断然ハードな作業になりました。
国道沿いに丈高く茂ってしまった松林を、伐採してきれいに片付けたのですが、はっきり言って、こんな作業を誰も怪我なく、しかも誰が指図するわけでもなく淡々とスムーズにこなせるというのは、全くすごいことです。
我が集落には、山仕事のプロが何人かいるとは言え、一人一人が心得ていなかったらこういう動きにはなりませんね。
私も14年の山暮らしで、伐採も後片付けも一応経験がありましたから、何とか足手まといにならずに皆さんと一緒に作業することが出来ましたが、今日もまた、田舎で足が地に付いた暮らしをして来た方々の底力を、見せ付けられたような思いがしました。
自分たちで出来ることは自分たちでやるという姿勢は、これからの日本の社会の中で、最も必要とされるはずです。
そして、自分たちの生活環境は自分たちで守って行くという自負がある限り、その地域が衰退することはないと思います。
ますます、この場所への愛着が深まって行く私です。

おしらせ
Machikoの 「ドコノモリ」 に新着記事が入りました。
<こちら> からご覧ください。

天然酵母パン





食工房のパンは、基本的に一種類の酵母、
自家培養の阿武隈・飯豊酵母を使用しています。


もうすでに多くの方がご存知のはずですが、改めて申し上げます。
食工房のパンは、100%天然酵母だけを使用して焼いています。
そしてその酵母は、完全自家培養です。
今から20年ほど前、阿武隈山中で山暮らしを始めた時に、山の沢水から起こしたパン種を、以来14年間、その沢水と小麦粉と少量の砂糖を養分に、繰り返し掛け継ぎしながら培養して来ました。
その後会津に移ってからは、飯豊の水で養い続けている、正真正銘の天然酵母です。




培養完了して、使用可能な状態の酵母種


通算すれば、もう1000回近くも掛け継ぎを繰り返し、永久無限に増殖し続ける我が酵母に、私は「阿武隈・飯豊酵母」と命名しています。
最近は、この酵母の純粋性を保つことと、安定した活力を維持するために、作業場にはイーストはもちろん、その他の酵母を含む食品類を持ち込まないようにしています。
そしてパンづくりの一番の材料である小麦粉は、これも100%国内産の小麦の粉です。
岩手県産の「南部」という品種と、もう一つ「ゆきちから」という品種を、用途に応じてミックスあるいは単品で使用しています。
もう一つ、一部のパンに使用するライ麦全粒粉は、カナダ産オーガニック(無農薬有機栽培)原穀を自家製粉しています。
食工房では、それぞれのパンの特質に合わせ、生地の最適な温度と醗酵時間を管理しています。
また、国産小麦の穀物としてのおいしさや天然酵母の醸し出す風味を最大限生かすために、食事用のパンには、粉と酵母と水を基本材料に少量の砂糖と塩以外の余計な材料を使いません。(油脂分も排除しています。)
一方、菓子パンやサワードゥビスケットなどには、油脂分として菜種サラダ油とバターのみを使用しています。
乳化剤を含むマーガリンやショートニングなどは使用していません。
食工房の天然酵母パンは、食べることと料理することが好きな方に、特に心底パンが好き!という方に喜んでいただけるようなパンを目指しています。
皆さまの、率直なご感想やご意見を糧に、これからますますおいしいパンが焼けるようになりたいと思っています。

米粉のパン


今までにもう何回も、何人もの方から、「米粉のパンをつくったらいいのに・・・。」と言われています。
会津は米どころだし、お米の消費の低迷が言われている折、米でパンをつくればいい取り組みになることは、それはそれで悪いことではないと思っています。
私もそう思って、実はいろいろ研究してはみたのです。
それでまず、米でパンをつくるためには、米を小麦粉のような微粉に挽く必要がありますが、新潟の企業が特殊な製粉方法を開発していて、すでにパン用の米粉を発売しています。
関連する資料を読んで分かったのですが、米粒は簡単には微粉にならないので、特殊な酵素と共に水に漬けて処理し、その後乾燥させて製粉するということでした。
そして、米にはグルテンと呼ばれるタンパク質成分がありませんので、小麦から抽出したグルテン粉を15%くらい添加します。
このグルテンがないと、いくらこねてもパン生地にはなりません。
そういうわけで、米でパンをつくるためには、ずい分手間のかかることをやらなくてはならないのですね。
当然、価格も高くなってしまいます。
またグルテンは、小麦だけにしかない成分ですから、結局、米100%と言いつつ小麦由来のグルテンのお世話になるのだったら、やはりパンは小麦でつくった方が自然だし、おいしいだろうと思います。
国内産小麦だったら、はっきりとその違いが分かると思います。
お米は、やはりご飯が一番でしょう。
そして餅や団子や煎餅、おはぎとか、いくらでもおいしいものがあります。
小麦粉と混ぜて蒸し菓子にしてもおいしいですね。
こんなことを言っては申し訳ありませんが、米粉のパンはあまり定着しないのじゃないかと、私はそう思っています。
    ※パン用米粉の関連資料へのリンク <こちら>