子ども達の三人に一人はアトピー体質だと言われます。
特定の物質にアレルギー反応を起こす体質を持っている人は、最近ますます多くなっているような気がします。
昔は、牛乳が飲めないと言っても、そんなことに配慮する風潮はありませんでしたが、今は学校給食でも、食品アレルギーに対して配慮するようになりました。
また花粉症などのアレルギー疾患も社会的にすっかり認知されて、春先はマスクをした人を沢山見かけますが、誰も特別気に留めなくなりました。
さて、このアレルギー体質が何故生じるのか、このことについて研究が進んだ結果、面白いことが分かったのですね。
それによると、まず私たちの体には免疫抗体反応という仕組みがあります。
これは、細菌やウィルスに感染したり毒物を摂取した時、その害を食い止めるために働く生理なのですが、公衆衛生が普及して生活環境に雑菌が少なくなった結果、その分他のいろいろな物質、例えば花粉とか特定の蛋白質などに過剰な免疫反応が起こる、それがアレルギーと呼ばれるものの正体だというわけです。
そしてその体質が生じるかどうかは、生後1~2歳までの生活環境によって決定づけられると言われ、アレルギー体質になるのを避けるためには、ほどほどに不衛生な環境にいるのが良いという結論だそうです。
ほどほどに不衛生、つまり少々前時代的な暮らしをしていれば良いということでしょうか。
だとすると、最近の住宅環境はあまりにも人工的で完璧に衛生的だし、人の手の触れるものは何でもかんでも除菌加工してあるし、私たちも何に触れる時もやたらに除菌スプレーを使ったりしますね。
これだけ世界規模で大量に人や物が動く時代になった今、恐ろしい感染症のリスクもないわけではないので、除菌に神経質になるのは、一方では止むを得ない事情でもあるわけです。
そうやってもう一方では、アレルギー体質が増えて行くというわけです。
だとすれば、子ども時代は田舎に暮らし、古民家にでも住まって、野山を駆け回って遊ぶというのが一番良いということになりそうですね。
私には、当たり前過ぎる結論だと思えますが、案外実現が難しいのが現代社会なのかも知れません。