日別アーカイブ: 2008年11月12日

コーヒーの酸味


私がコーヒー焙煎を始めた頃、七輪に炭火、金ザルにシャモジという、原始的手法で炒った私のコーヒーを支持してくれた方がよく言っていたのは、「酸味のないコーヒーが好き。」という言葉でした。

確かに、私の焙煎したコーヒーは酸味が軽く、強いロースト香を放ち、とても個性的だったと今思います。
当時はそれなりにバランスの良い味だと思っていましたから、私自身が酸味が好きじゃなかったということになります。

酸味を敬遠すると、どうしても深炒りになります。
ロースト香は強くなりますが、味わいが平板な感じになります。
でもそれが、さっぱりした味で心地良いと感じていました。

しかし、コーヒーと関わって何年か過ぎるうちに気がついていましたが、コーヒーの味の中で、酸味はかなり重要な役どころを担っているのですね。
ある時業界の大先輩が、「昔はコーヒーが酸っぱかった。それが今になると懐かしい・・・」と語ってくれました。

そして最近また気がついたのですが、コーヒーの味の二大成分である苦みと酸味のうち、酸味はまろやかさや味わい深さを決定する重要な要素だということです。
考えてみると、コーヒーから完全に酸味を消してしまったら、多分、麦茶をうんと苦くしたような味になってしまいます。

そして不味いコーヒーの不味い所以は、大半、酸味の質によるのではないかと、考えるようになりました。
そして最近出合ったセラードコーヒーの中の、ワイン系と呼ばれる特徴的な酸味を持つコーヒーに接して、「酸味の心地良いコーヒーは、本当においしいコーヒー。」、この考えが間違いでないことを確めました。

今、コーヒーの酸味に対する認識を新たにして、今まで取り扱って来た銘柄を一つ一つストレートで味わい直しているところですが、それぞれ個性的でありながら、いずれもこの酸味の質の良さが幸いしていたようです。

ところで、ワイン系と呼ばれるコーヒーは、いわゆるワインのような味わいが特長とされ、酸味の心地良さは別格です。
今までにも、酸味の心地良さを認める銘柄はいくつかありましたが、セラードコーヒーの「カフェ・ヴィーニョ」(ヴィーニョは、まさしく「ワイン」の意)には、ちょっと驚かされました。

こういうコーヒーに出合うと、正直なところオーガニックでフェアトレードであっても、もう一方でコーヒーの風味という点での品質について、もっともっと勉強し追求してもらいたいと、多少の不満も感じてしまいます。

食工房テイストにも、新境地が開ける可能性を感じている昨今です。



  おしらせ
カフェ・ヴィーニョも、今度からメニューに加わります。
セラード カフェ・ヴィーニョ 100g 500円
☆只今、コーヒーのメニューパンフレットを更新中です。
もうしばらくお待ちください。