日別アーカイブ: 2008年11月28日

ほんとうの空色


 


これは本当は、ハンガリーの作家 Balazs Bela の著作になるファンタジー小説のタイトルなのですが、今日のお話はそれとは直接関係ありません。
でも、このタイトルをいただいたのには、少しわけがあります。

私が、20代の終わりかあるいは30代の初めか、詳しい時間は忘れてしまいましたが、ある時、草原に寝転んでぼんやり空を眺めていました。
ふと思いついて、片方の目を掌で覆って片方の目だけで眺めた後、次にもう一方の目に替えた時、微妙に空の色が違っていることに気がつきました。

上の2枚の写真は、左右それぞれの目で見た空色を、少し差異を強調して再現したものです。

何でこんなことをやって見る気になったかと言うと、耳でも同じようなことが起こるのを、すでに体験していたからです。
ヘッドホーンで、左右の耳に個別に音が聴こえるようにしておいて、「ピンクノイズ」と呼ばれる音源を出します。<参照>
左右交互に聴くと、全く別な音を聴いているくらい違って聴こえるのです。
左右の耳の周波数感度特性は、もちろん人にもよると思いますが、かなりバラツキがあるのだなと、20代の初めの頃だったと思いますが、その時初めて知りました。

それで、目でも同じような差異があることに気がついて、やっぱり少しショックでした。
右の目と左の目でも違って見えるのだから、ましてや他人の目と自分の目では、同じ空を眺めていても違った空色に見えているかも知れないと思うと、自分の中で何かが大きく揺らぐのを感じました。
それ以来、世界とそして人を見る目が変わったような気がします。

そしてその時、同時に思い出していたのが、「ほんとうの空色」でした。
このファンタジー小説のことは、18か19の頃、朗読をラジオで聴いた時以来、忘れることが出来ない記憶として、頭の片隅にしっかりと刻んでいました。
どうしてこの物語がそれほど印象に残ったのか、自分ではうまく説明出来ませんが、もし興味がおありの方は実際にお読みになってください。