ずっと以前は、そんなことを考えもしないで気ままにやっていましたが、一定の評価をいただくようになって見ると、食工房のコーヒーの味を安定して維持することの大切さを自覚するようになりました。
そうしてもう何年もの間、大した問題も無くやって来られたのですが、今年はブレンドのベースに使っているブラジル産の豆・ジョアキン農園産が、天候が悪かったのかちよっと不出来で頭を抱えています。
最初は、選別を厳しくして欠点豆を徹底的に拾い出せば、あとはローストの腕でカバー出来るかも知れないと思って挑戦していましたが、舌の敏感なお得意さまから、やっぱりご指摘をいただいてしまいました。
多分他にも、すでにお気づきの方がいらしたのじゃないかと思います。
何しろ相手は農産物ですから、多少の出来不出来は仕方のないことではあります。
そしてこの豆の場合、単一農園産ですから、出来不出来はもろに出ます。
まあ、そういったリスクとも付き合ってこその第三世界支援の道ですから、来年の作柄の良いことを祈って、当分は辛抱するしかありません。
他に似たようなキャラクターの豆は無いかということで、別ルートでティジュコプレト(参照)やバージングランデ(参照)を見つけましたが、いずれもスポット商品だったようで、後の入荷が無く、間もなく食工房の在庫も終了してしまいます。
引き続き新しい豆を探していますが、なかなかこれというものが見つかりません。
明確な自分のコーヒーの味を持つのはいいのですが、維持するのは容易なことではないことを、改めて思い知らされています。
月別アーカイブ: 2008年9月
あっという間に過ぎて行く休日
ここ何週か続けて、休日の度に畑仕事に精出していましたので、いつの間にか用事が溜まって、今日は外出となりました。
いつもと違う休日のリズムに、頭がボーっとしてしまい、運転は娘に任せっ放しにして助手席でウトウト。
行く先行く先で何とか用を足して買い物をして、最後に寄った生協のお店のレジで、すぐ後に赤ん坊を抱いた若いパパとママが並びました。
あんまり可愛らしいので思わず覗き込んで、ママの方を見たらうれしそうにニッコリ、私もうれしくて「何ヶ月ですか?」。
「三ヶ月です。」とママ。
何かもっと気の利いたことを言って差し上げたかったのですが、「がんばってくださいね。うちも6人育てましたから。」と申し上げてその場を離れました。
この可愛い赤ちゃんのおかげで、やっと気が休まった私でした。
気が付けば、車の窓から見る夕空は雲もなく澄みわたっていました。
今夜は、さぞかし星空がきれいなことでしょう。
あとで寝る前に、外に出て見ようと思っています。
かくして、あっという間に過ぎて行く休日・・・。
そして一日の終わり、静かな秋の初めの夜には、北欧の音楽がお似合いです。
一曲だけご紹介します。<こちら>をクリックしてお聴きいただけます。(※ご注意:ファイルサイズ、3.7MB)
そうそう、音楽絡みで思い出しましたが、今日は、いつもお世話になっている、会津若松の楽器屋DONさんにも寄って、お茶をご馳走になりました。
お店のブログが始まったそうで、アドレスをいただきましたので、ご紹介しておきます。
楽器屋DON*ウェブログ
「もうひとつの9.11」
昨日は、ネット上である記事を見つけ、読み始めたら目が離せなくなって、自分のブログどころではありませんでした。
その記事は、今から35年前に南米のチリで勃発した軍事クーデターに関わりのある日記でした。
その内容は、後でゆっくりと訪問して読んでいただきたいと思いますが、何でまたそんな記事に行き当たったかと言えば、ヴィクトル・ハラというフォークシンガーのことを知りたかったことが発端でした。
ヴィクトル・ハラは、当時チリでは国民的人気を得ていた社会派のフォークシンガーであり、世界的にも知られていました。
そしてヴィクトル・ハラは、その軍事クーデターの時に、捕らえられ虐殺されたことでも有名です。
さて、私が昨日一日気持ちを捕らえられていたその日記は、そんな政情不安な当時のチリに、リュック一つで旅行に行った当時の青年の実話です。
何でそんな場所に出かけていったのか、日記の文面を借りると、 『ぼくがチリの国をめざした動機は、結構不純です。なにしろもっているお金が、ブラック・マーケットで両替すれば10倍以上の価値をもって使える。女の子は、抜群に、きれいで心が優しい。メイク・ラブが簡単に出来る。にわか成金で、優雅な生活、青春を満悦できるとの噂を入手していました。
しかし、政情不安で、軍事クーデターの危険がつきまとっていました。日本を出国してすでに2年以上過ぎ、足を踏み入れた国も50か国は超えていました。時には、けっこう危険な目にも遭いました。危険は、出来るだけ避ける。これが元祖バックパッカーとしての鉄則です。が、この国だけは、甘い蜜が盛んに呼んでいる、通過できない国でした。』、とのこと。
にわか成金になって遊興三昧を決め込んで入国したものの、最後にクーデターに巻き込まれてしまい、とんでもない目に合って命からがら脱出するまでのことが書かれています。
これを読んでいて私が思ったことは、先ず一つ、貧しい国にはお金持ちの外国人の旅行者の散財によって生活が成り立っている人が沢山いて、またそのブラックマーケットの仕組みは、ある意味でその国の富裕層から貧困層にお金が還流することに貢献しているという皮肉です。
杓子定規に考えれば、それは違法行為であり犯罪であるわけです。
しかしそれを言うなら、富の偏在こそが犯罪じゃないかと、私などは思います。
そして二つ目は、主義や思想や宗教ではお腹を満たすことは出来ないこと。
ましてや軍隊は、銃で脅して略奪することくらいしか出来ないということです。
いつだって、畑で作物を育て、鶏や豚や牛の世話をする農夫、海に魚を採りに行く漁師、パンを焼く職人、料理をする家人がいてこそ、毎日の食べ物にありつけるのです。
爆弾が炸裂し銃弾が飛び交う場所で、食糧を生産することなど出来ません。
あるのは破壊のみ。
それにしても、どんな時でも人は飲み喰らい、歌い踊り、そして恋をする。
これだけは止めることは出来ないということに、何とも切ない気持ちにさせられました。
その後チリがどんな国になったのだろうかと、いろいろ調べてみたら、今はとても安定したいい国になっているみたいで、胸が熱くなって来る私でした。
チリで軍事クーデターが起こり、時のアジェンデ大統領が亡くなったのが35年前の9月11日、チリの人々はもちろん、世界でも、「もう一つの9.11」として歴史に残る出来事です。
近々、ヴィクトル・ハラのCDが届きます。
楽しみです。
「チリ旅日記」
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/7374/
チリに関する資料 : ウィキペディアのページは<こちら>
おしらせ
今週は、木曜日・カネリプッラ、土曜日・クリングラです。
みのりのパン
小麦全粒粉は、地元山都産アオバ小麦を、20%使用
新製品の名前が決まりました。
「みのりのパン」です。
食工房のお得意さまの一人の方から、ヒントをいただきました。
一つのパンの中に、小麦、燕麦(オートミール)、カレンツ、レーズン、松の実、クルミ、オリーブ油と、沢山のみのり(実りあるいは稔り)が詰まっているという意味では、まさにぴったりの名前ですね。
最初は、旅の口糧というコンセプトにこだわっていましたが、これでもうすっかり納得してしまいました。
「パンだより・9月号 」の中ですでに公開しましたが、お値段の方はちょっと高くなってしまいました。
1本 900円 1/2カット 480円 となっております。
ただし9月15日までは、お試し期間として1本500円で販売しております。
おかげさまで食工房も、いつの間にかパンの品目が多くなり、常時すべての品目を揃えることが出来なくなっています。
当面、「みのりのパン」は、毎週土曜日の製造とさせていただきます。
明日も、皆さまのご来店をお待ちしております。
数字で見る格差、世界の状況
以前「世界がもし100人の村だったら」という本を、出版されたばかりの頃読んだことがありました。
以来ずっと、この世界の状況のことが頭を離れたことはありません。
だからと言って、直接何が出来るというわけではありませんが、最近、やっぱりただ見過ごしているわけには行かない、世界のこの状況の果てに何があるのか、考えざるを得ない私です。
例えば、「世界の富」の60%をアメリカという国が保有していて、そのアメリカの中では、20%の富裕層の人たちが80%を保有しているなどという数字を見て分かることは、この20%の人たちだけで世界の富の約半分を独占しているということです。
世界の人口に照らすと、1%にも足りない数の人です。
世界を100人の村に例えたのでは出て来ないほどの数です。
別な統計では、世界を10人の集団に例えると、たった一人が99%の富を独り占めしており、1%を残りの9人で分け合っている状況だとか。
この富の偏在には多くの問題が関わっていることは確かですが、豊かな国と言われる国の中にも最貧困層の人々が存在し、また貧困国の中にも想像も出来ないようなお金持ちがいたりする状況が、何を物語っているのか、今一度よく考えてなくてはならないと思います。
そんなことを思っていろいろ検索していたら、
動画で見る「世界がもし100人の村だったら」というのを見つけました。
大変分かりやすくてインパクトのあるこの情報に、多くの方々に改めて触れていただきたいと思います。
http://www.oasisjapan.org/main/modules/pico/index.php?content_id=4
そして、こんな情報も。
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2006/12/post_47b5.html
私たちの未来に何が訪れるのか、それを占うためにも・・・。
煙にむせた二日間
昨日半日、今日ほぼ一日かけて、ご注文のコーヒー焙煎をやりました。
おかげさまで、パン屋の陰に隠れながらも、メニューに入れてくださっているお店が5軒、熱烈なる固定ファンの方が数名、プラスアルファで結構忙しくやらせてもらっています。
今週はたまたまご注文が重なったため、4銘柄15㎏分の生豆を焙煎しました。
コーヒーの仕事をしている方はお分かりのはずですが、とにかく煙が凄いんです。
うちは原始的な仕掛けでやっていますので、排煙装置などは無いのです。
それからホコリも凄いです。
そして排熱も・・・。
まず誰もが嫌がる、劣悪なる労働環境というところです。
とても人を雇ってやらせるわけには行きません。
それでも続けているのは、一番は自分が美味しいコーヒーを飲みたいがため、二番はお得意さま方の熱烈なるご支持に応えんがため。
一番と二番を逆に言わないところが、私のバカ正直さ加減と思し召しください。
その代わり、品物は確かだと言っていただけるよう頑張っています。
<追加更新>
Blue Lace の服、入荷しました。
リネンWガーゼの5分袖 ワンピース ストンとしたデザインです。
同素材のストールも入荷 ワンピースとおそろいで使うとおしゃれです。
色は、4種類あります。
例によって、気になる方はお早めに!
おしらせ
「食工房のパンだより・稔りの秋号・2008年9月」 アップしました。
<こちら> からご覧ください。
人為農法
自然農法を実践している方から、どんなお言葉をちょうだいするか分かりませんが、うちの畑は言ってみれば「人為農法」です。
草は取るし、耕すし、肥料もくれるし、畝も立てます。
苗作りもやるし、定植、土寄せ、芽かきと、必要と思うところにはいくらでも手をかけます。
大型機械や農薬、化学肥料は遠慮していますが、手をかけること自体は否定しません。
狭い畑だし、家庭菜園なのですから、用に足りるだけの収穫が先ず第一の目的です。
いきなりすっ飛ばした言い方で誤解を招くかも知れませんが、自然の営みが人が関わることによって、より豊かになるということはあり得ると思っています。
あの豊かなフィンランドの森林が、すべて人の手が入った森であることや、アマゾンの奥地の原住民が焼畑をしている土地が、まわりの手付かずの場所よりも生態系が豊かであること、それらは人もまた自然の営みの中で果せる役割があることを示していると思います。
小さな畑で必要なだけの食べ物をいただいて、その代わりに何かが出来るはずだと、それを分かるためにはとにかく土に触って関わることしかないと、だから手をかけています。
大根や白菜の双葉の、何と可愛くて感動的なこと!
見て、触って、育んで、そしていただく。
人為が災いとならない道は、必ず存在すると思っています。
大根の芽が出ました。
ここに白菜を植えます。
白菜の芽が出ました。
「ドコノモリ」へお出かけください。
連れ合いのブログに、新しい作品がアップされました。
入口は<こちら>
一週間のご愛顧に感謝しながら・・・。
パン屋にとっては苦しい真夏の8月も、過ぎてしまえばあっという間だったような気がします。
そして何だかんだと言いながら、どうにか売り上げを維持することが出来て、早や9月です。
こうして自営業をやっていると、毎日毎日の収入の保証というものは全く無くて、本当に店を開けた瞬間からライブステージなのです。
この一週間もいろいろなことがありました。
大雨が降ったり、蒸し暑かったり、お客さまの出足を計ることは全く出来ませんでしたが、それでも先日の大雨の日にもご来店の方があり、うれしい驚きでした。
そして、FAXやメールで届くご注文も同様に、思いがけないことが多く、やはりライブです。
今週は、何となく淡々と過ぎた一週間でしたが、最後になって大量のコーヒー焙煎のご注文をいただきましたので、明日の定休日は半ば返上です。
皆さまのご愛顧に、改めて感謝申し上げます。
「パンだより・9月号」、ただいま編集中です。
もう一つ、今週は木曜日・クリングラ、土曜日・カネリプッラです。