月別アーカイブ: 2011年8月

私たちが失ったもの・・・


今は警戒区域となった山々

画像クリックで拡大・デスクトップ背景に使えます。


この度の原発事故に巡り合って私たちが失ったもの、その大きさ、途方のなさに、どこまでも広がる荒野を見るようで、もうこの先ずっと一生の間、何に対しても心の底から喜ぶことは出来ないかも知れないとの思いがあります。


ある学者の分析によって明らかになった、広島原爆20個分に余る放射能がまき散らされたという事実。
多くの人が思考停止に陥ってしまうのは、ある意味仕方が無いことかも知れません。
しかしそれでは、失うものがますます増えるだけです。


中でも許せない、私たちにとって一番大きな喪失は、この原子力災害に対し、この国の責任ある人たちが、全く向き合おうとしないことです。
放射能は、先ず真っ先に人の心を壊したのだと思っています。


私たち福島県民の多くが、この文明社会の利便性、つまりありとあらゆる電力の恩恵を、厳しい被曝の現実を以て贖っているということを、何としても思い知らせたい・・・。


また子々孫々に対し、これほどの途方もない負の遺産を残すことになったことに、今を生きている大人たちは、これから先ずっと死ぬまで、後悔の念を絶やしてはならないと思います。


今回の事故で分かった通り、あのように稚拙な技術と愚かな人間性を以て原発を動かし続けることは、もう止めにしなければ・・・。


やはり、これは戦争です。




食工房は、明日から18日まで、夏季休業をいただきます。

仕切り直しです。

皆さまも、どうぞお元気で。

ご来店ありがとうございました。


板橋店長の顔が、今日は一段と頼もしく思えました。



昭和村のカスミソウ販売特設コーナー
この花があるだけで、店の雰囲気が
とても華やに感じられました。


本日は、百姓市、食工房、共に多数ご来店いただきまして、まことにありがとうございました。
この場を借りて、一言御礼申し上げます。


特に百姓市は、地元在住と新住民の若い方々が意気投合して頑張っている甲斐あってか、この頃集まって来るエネルギーの濃さを感じます。
これで何か起こらない方が不思議、そんな雰囲気があります。


いつまでも元気をなくしてはいられない。


そのエネルギーの基になっていることの一つに、この度の原子力災害に対する自分たちのスタンスを、はっきりと見定めていることがあると思います。


自分たちの生産物は、可能な限り(何しろ高額な費用がかかるので)自主的に検査に出す、このことだけでも面々の覚悟を感じていただけるのではないでしょうか。


努力はまだまだ始まったばかりです。
これから益々勉強し理解を深め、いろいろな方策を打ち出して行く所存です。


比較的汚染の程度の軽い会津ではありますが、なお今後も、それぞれの圃場の可否について詳細厳密に評価しながら、植える作物の選定や必要な対策を実践して行きます。


どうぞ皆さま、引き続き「百姓市」を応援してください。

よろしくお願いいたします。




雨が降ると・・・

今日、百姓市もあと30分ほどで店じまいという頃になって、突然猛烈な雨に見舞われました。
店先に線量計を置いて観察していた私は、この時急激に線量が上がって行くのを目撃しました。
それまで、0.08μSv/hだったのが、最高0.16μSv/hまで上がりました。
二倍にもなったわけです。
大変驚きましたが、雨が止むと間もなくまた急激に下がって行きました。
一過性とは言え、この変化は何だったのか。
大気中に放射性ダストが、未だに一定量浮遊していると言えます。


雨に濡れた時は、出来るだけ早く着替えて、シャワーを浴びて全身を洗い流すのが良いと思いました。

明日も、「百姓市」よろしくお願いいたします。


明日の「百姓市」は、同時開催イベントがあります。
地元早稲田谷地区の灌漑水路・上堰を辿って自然散策をご案内いたします。
案内役は、森の案内人の資格をお持ちの浅見彰宏さんです。
実は先月にも開催して、ご好評いただいています。
季節が移って、先月とはまた違う様子を観察出来ると思います。



画像クリックで拡大します。


 


また「百姓市」会場では、食工房による夏野菜たっぷり・カレーの炊き出しもあります。
こちらは、材料費実費500円をご負担ください。
コーヒーは、いつも通り無料サービスです。


夏野菜が盛りになって来ました。
市には、沢山の野菜が揃います。
他に、平飼い自然卵、有機大豆の納豆など加工品もあります。


その他、天然酵母パンと焼き菓子も販売。


そして今回特に、昭和村の農家の方(菅家博昭さん)がカスミソウを販売します。


いろいろ、あれこれ盛り沢山の、明日の「百姓市」へ、ぜひぜひお出かけください。
一同、心よりお待ち申し上げております。


 


放射能との付き合い方・その2


5月に友人から貸していただいたもの
今にして分かりましたが、すごくいい機器でした。
現行品・新品価格が24万円だそうです。



私が購入したものです。決して悪いものではありませんが、
ちよっとレスポンスが遅くて、それが欠点と言えば欠点です。
測定自体は、そこそこ正確なようです。


放射能との付き合い方、その極意は?

何のことはありません。
「測ること。」です。

それ以外にあり得ません。

空間、土壌、農産物など、何でも。

個々人ですぐに測れるのは、まず空間線量です。
そのために測定器が一台必要になりますが、近くに持っている人がいるなら、頼んで計ってもらうか機器を貸してもらうか、とにかく試してみることです。

これにより、目に見えない放射能を可視化することが出来ます。
それまで漠然とした不安に苛まれていた感覚から解放され、一気に自分の現実として受け入れられるようになります。
危険ならすぐに回避行動を、さほどでなければ様子を見ようとか、いずれにせよ自分で判断しようという気になります。

これはとても大きい変化です。
いたずらに国や県の発表に、疑心暗鬼になることも避けられます。


私の場合は、まず簡易線量計を手に入れました。
これで、いつでもどこでも放射線量を知ることが出来て、被曝の程度も分かります。
何より不安に思いながら行動を抑制するストレスから、完全に解放されます。


ある程度被曝を覚悟で行動する場合も、その程度を正確に知り、それを自覚して行動するなら、精神的にはとても楽です。


それから私の場合、業務上の必要から農産物の残留放射能の検査結果に目を光らせています。
まわりの農家の方々が、すでにいくつもの検体を複数の検査機関に送って、結果を得ています。
そして私自身も本日、地元産のライ麦と小麦を検査に出しました。


このようにして測ることにより、その環境での物事の可否が明確になります。
自分で自分の行動を決断出来る前提となります。
これは本当に、重要なことです。


「測ること。」


やはり、放射能との付き合い方の極意に違いありません。

今年産のライ麦と小麦


 沼ノ平・2011年産・ライ麦原穀



 沼ノ平・2011年産・小麦原穀


収穫期に晴天が続いていたおかげで、とても良い実入りになりました。
ただ単に見た目が綺麗なだけではありません。
中身的にも、とても良い状態です。

ただし、残留放射能が無ければ・・・という話しです。
これから検査に出します。
今、検査機関に問い合わせ中です。


これでもし悪い結果だったら、こんな悔しいことはありません。


もう只々、祈る気持ちのみです。


巷では、今年産の米に対する不安から、昨年産の古米の価格が急騰しているとか。
これが農家が潤うと言う話しならまだいいのですが、そうではないのですね。
去年の内に安く買って倉庫に抱えていた業者が、密かにホクホクするだけですから。


それにしても、リスクのある土壌に作付けなどしなければいいのにと思いますが、実は作付けしないことには、補償を要求する根拠にならないらしいのですね。
そして、暫定基準値以下の汚染米に対しては、多分補償はありません。


「こんなに生産者を泣かせて、ただで済むと思うなよ!」

 




  大ちゃんの野菜が並びます




食工房の店頭に、毎朝野菜が届きます。
地元相川の「あいかわ農園」、つまり大ちゃんの農園の野菜を、食工房で売ろうという企画です。
これからずっと秋まで、野菜があります。
どうぞよろしくお願いいたします。

「パンだより」完成と夏休みのお知らせ

パンだより65号・名残りの夏号が出来ました。
ホームページ上に公開いたしましたのでご覧ください。<こちら>

その中にもお知らせいたしましたが、来週8月9日から19日までの間、夏季休業をいただくことにいたしました。
ちよっと長めの贅沢な休暇という感じがしないでもありませんが、正直いささか疲れが溜まりました。
ここらで一度仕切り直しをしないと、精神的にこの後を続けられないかも知れません。


何にしても、この度の原子力災害は重いです。


何故もっと、福島県民は怒らないのかとあちらこちらからご意見があるようですが、そうしたくてもそう出来ないと言うか、そうする前からすでに失望させられていると言うか、ただ単に福島県人が人がいいからと言うだけではない幾つもの理由があるように、私は思います。


そしてこれはもう、福島のこの現状の中で暮らしている者にしか分からない感覚だと思います。
こうした何と言ったら良いのか、分断されている感覚、分裂する心、人と人が、また自分自身が、内戦状態にある感じがしています。


やっぱりこれは戦争です。


重苦しい話しになってすみません。


パンだより、見ていただけたら幸せです。

荒らしコメント多数につき

この頃、記事の内容と全く関係の無い、いわゆる荒らしコメントが度々入るので、コメントを承認制にしています。
ところが、それでも懲りずにごく最近、一度に50件、100件を超す荒らしコメントが投稿されることがあり、このようなありがたくないコメントと本来ありがたくいただけるコメントを判別するだけでも手間を取られて、とてもじゃありませんがうっとうしいことこの上ありません。
当分の間、コメントの受け付けそのものを中止いたしますので、ご了解ください。