月別アーカイブ: 2009年9月

近頃テンポが速過ぎる

何に限った事ではありません。
近頃、やたらにテンポが速過ぎじゃないかと感じている私です。

物事の流行り廃り、移り変わり、そして元々切り替わりの速いテレビ画面の1シーンでさえ、最近ますます短く速くなっているような気がします。

コンピューターのCPUの処理速度もまた、倍々に加速していますね。
コンピューターの進歩が先かあるいは人間の欲求が先か、というより両方で共鳴し合って増幅加速の一途を辿っているというのが真相でしょう。


ある方のお便りには、「世の中の流れは速くて・・・、とくに私には・・・。できたお店も、すぐなくなってしまいます。」とありました。

そんな折思い浮かぶのが、近頃のカフェ流行りです。
新規開業するお店に設備を納入する業界は、これだけ厳しい不況の中でも結構仕事があると、業界の方のお話しです。

また別な方には、新規開業に意欲を燃やしているのは、30代前半の若い方々だとも伺いました。
比較的裕福な方の多い団塊の世代の、子どもに当たる世代ですね。資金的にも、恵まれた環境があるということなのでしょうか。

そしてまた同様な傾向にあるのが、パン屋とお菓子屋だそうです。
どちらも、カフェと並んで若い方々には、断然人気の業種だと聞いた覚えがあります。
そしてそれらを別々ではなく、複合的に一軒のお店でやってしまう例がこれまた大変多いのですね。


まあそれはそれとして、こうも急速に数が増えているとなると、近い将来必ずやって来るのが淘汰の時代です。
誰だって、先行き潰れると思っているわけはありませんが、この移り変わりの速い時代に、それはいかにも急激にやって来るような気がします。
うちだって、決して例外ではないかも知れません。


ところでカフェと言えば、安らぎやくつろぎの時間と空間を提供するのが商売ですね。
この気忙しく慌ただしい世の中で、カフェの中だけは別な時間が流れているような錯覚を、お客さま方は期待するのではないでしょうか。

一方店を開けている者にとっては、この移り変わりの激しい世の中で、ある意味生き残りを賭けなくてはなりませんから、見えない所でなかなか厳しいストレスに苛まれることになります。
世の中のテンポが速くなればなるほど、この店の表と裏の落差は大きくならざるを得ません。
これをどこで納得するかが、仕事の質を決定すると言えます。

お客さまへのサプライズには「遊び心」が欠かせませんが、それを実現するためには現実的な計算も必要ですし、手間も時間も体力も必要です。そして大事なのは、案外精神性というか、哲学なのですね。

あと一つ、私にとって一番大事なのは、自分の身の丈を自覚するということでしょうか。


ちなみに食工房のキャッチフレーズは、 Slow Foods Slow Business です。

どうぞ、長いお付き合いを!

スズメバチの巣


杉林に囲まれしかも夕方近く、薄暗いので鮮明な写真が撮れませんでした。
ノンストロボでどうしても上手く撮れないので、最後に一発ピカッとやったのがこれ。
コンデジの弱々しいストロボ光では、これが精一杯。

それより、ピカッと行った次の瞬間、巣のまわりの蜂たちが、ワラワラッと動きました。
即、退散。事なきを得ました。


巣の直径 約35cm 多分、2000匹以上の個体がいる筈。


家の裏の土蔵の棟下で、スズメバチの巣が大きくなっています。

実は、7月の下旬に気が付いたのですが、すでに働き蜂が増え始めていたのと、至近距離ではなかったので駆除に及びませんでした。

スズメバチがいると蝿がいなくなるということを、以前にも体験していましたので、そのままにしておいて観察しています。
今日は、巣の直下まで草刈り機で草を刈りましたが、草刈り機の音にも私の動きに対しても警戒や威嚇はありませんでした。
だいたい6mほど上です。


それで思い出すのですが、今年は畑でスズメバチが捕食行動をしているのを何度も見かけていました。
青虫なんかは格好の餌になりますし、蝿もバッタも何でも餌にしてしまいます。
スズメバチ1匹で、一日に100匹以上の蝿を捕まえて肉団子にし、巣に運んで行くと言われています。
それを幼虫に与え、成虫は代わりに幼虫が吐き出す液体をすすってエネルギーにしているのだそうです。


興味深くまた害虫駆除にも一役買ってくれるスズメバチ、それはいいのですが、実は反対側の棟下にも別な巣があるのを少し後に発見。
こちらは、母屋に面していて距離も近いし、雪囲いを設置する頃に微妙に支障が出そうです。
それに、10月下旬ころになって繁殖期に入ると、雄蜂が他の巣に向かって飛びまわるようになり、巣全体が神経質になって来るので、こちらも気を付けていなくてはなりません。


そして寒さが増して来る頃、働き蜂たちは次々と死んで、新しい世代の女王蜂たちが越冬場所を探して、家の中にも迷い込んで来たりします。

ところで昔の人は、スズメバチが軒下に巣をかけるのを歓迎したという話しを聴きますが、本当かも知れないと自分の実感も交えてそう思える私です。


来年の春先、スズメバチの営巣行動には、特別注意を払わなくてはなりませんね。
歓迎するにしても、至近距離は困りますし、どこに巣があるのか把握していないと危険ですから。
今年は、ちょっと油断していたかも知れません。


ちなみに今年の6月3日の記事<参照>に、スズメバチが巣をかけ始めたのを発見して駆除したことを書いています。


  おしらせ


「食工房のパンだより46・仲秋号」が出来上がり、ホームページ上に公開しました。
<こちら> からご覧いただけます。


我が連れ合いの「ドコノモリ」に新しい作品をアップしました。
<こちら> からご覧ください。

お日さまのにおい


ライ麦全粒粉を製粉中です。
製粉機周りは、粉埃で真っ白。
「粉屋のダスティー」を思い出します。



こちらがライ麦全粒粉
灰緑色をしています。



こちらは小麦全粒粉
赤っぽい茶色です。


今年度産の小麦とライ麦を製粉いたしました。
これでいよいよライ麦も山都町沼ノ平産のものに切り替わり、原材料の地元調達率が大幅に向上することになります。
特に、全粒粉だけで造る「プンパニッケル」は、地元産原料100%で製造することになります。

今日は、製粉機の立てる粉埃のにおいを嗅ぎながら、これを何のにおいと表現したら良いだろうかと思っていました。
「そうだ!お日さまのにおいだ。」違いない!と、次から次へと子どもの頃の記憶が蘇りました。

麦畑の中にしゃがみ込んでかくれんぼした時のにおい。
家の周りの、刈り倒した草が乾いて枯れて行く時のにおい。
稲刈りの終わった田んぼの中で、藁屑にまみれて遊んだ時のにおい。
麦わら帽子のにおい。

いつもお日さまがカンカン照っていました。
お日さまのエネルギーをいっぱい吸い込んだ麦の粒。
蒔けば芽が出る命の粒を、ありがたく粉に挽かせていただきました。

今週のパンから、新小麦と新ライ麦を使います。


「・・・稲穂の海を吹き抜けて・・・」の歌詞を思い出します。
久保田麻琴の「休みの風」という歌。


今日は午後から、所用のため会津若松市内へ出かけました。
途中、刈り取り間近の田んぼの中を走り抜けると、やっぱり同じお日さまのにおいが漂っていました。

パンだより編集中につき

今月は、「パンだより」が遅れています。
すでに半分は出来たのですが、残り半分が途中です。
ネットをご覧にならない、あるいはなれない方のために、また連れ合いのイラストが楽しみと仰る方のために、商売上の実益も兼ねて、半ば楽しみながら毎月出しています。
そういうわけで、今日はちょっと時間が惜しいので、ブログは手抜きです。
ではまた明日。

コオロギ

二三日前からでしょうか、家の中のお風呂場の入口あたりで、コオロギが鳴いています。
鳴き声と姿からして、ツヅレサセコオロギという種類のようです。
小さい体なのに、ずい分大きな声です。

どこから迷い込んだのか分かりませんが、こんなところでいつまで鳴いていたってメスはやって来ませんよと思いながら、私は私の感情で聴き惚れています。
何故だか知りませんが、コオロギの否、秋の虫の声は皆、私は何か特別な感情がわき起こります。


ところで、虫の声などに人間的感情を働かせるのは、日本人に特有の性質だと聞いたことがあります。
世界の中で、日本人ともう一つどこかの国の人たちだけが、そんな感性を持ち合わせているらしい・・・。
そしてそれは、我々の話す言語の構造に深く関わりがあるらしいと、人間の右脳と左脳の働きを詳細に解説している「日本人の脳」という本の中に触れられていたのを、もう25年以上も前に読んだ覚えがあります。


その本の内容のことはともかく、私達日本人が持ち合わせているその感性は、これまたアニミズムと深く関わっているのですね。
とてもよく分かるような気がします。

コオロギの声も、コオロギにとってはメスを呼んでいるだけかも知れませんが、たまたまそれを耳に留めた私にとっては、何かまた別な意味のあるメッセージのような気がするのです。
そんな風に、この世界の中の自分以外のものは、全てが導きだと感じている私です。

今夜も、遠くにコオロギの声を聴きながら眠りに就くことになりそうです。

痛し痒しのこの頃



 飯豊山食パン    堅焼き黒パン
   カネリプッラ     スコーン・プレーン
    ブラウニー      ジンジャークッキー


 


おかげさまで開業6年目を進行中です。
この頃は、いわゆる売れ筋もいくつか生まれて、長いものはもう3年近く連続ヒット中です。
以前は、日持ちの短いパン以外は、毎週製造には及びませんでしたが、この頃は売れ筋のものは毎週造っています。
たまに急なご要望があって、一週間のうちに二回焼くこともあります。
と言うことは、売れ筋じゃないものは、なかなかお目見得する機会がないということになります。
目下ここが大変痛し痒しの心境です。

売れ筋じゃないと言っても、まるきり見限られたというわけではありません。
造ればそれなりに売れることは確かなのです。
特に歯がゆい思いをしているのがクッキー類です。

そこで一番の問題は、製造にかける時間コストが見合わないということなのです。
手が足りないのだったら人を雇えばいいと言う話しですが、一時間かけて1000円分しか出来ないものを造るのに時給1000円で人を雇うことは出来ない、とそこまで極端ではありませんが、その例えに当てはまる現状があります。

損得だけ考えるのなら、クッキーなんか止めてしまった方がいいのですが、そう割り切ってしまっては、お客さまにとっても私達にとっても楽しみがないと言うか、夢がないと言うか、潤いに欠ける仕事になってしまいます。
まあ当面は成り行き任せで、出来る時には出来るというスタンスでやって行きますので、どうぞ気長におつきあいください。

思いがけず、ご無沙汰していたメニューが、突然棚に並ぶこともあり得ますので。

パン屋の幸せ


食パンを袋詰めしているところです。


つい先日のこと、ここしばらくご無沙汰していた方からご注文のメールが入りました。
その中に、ご実家のお母さまが「あの福島のパン屋さんの美味しい食パンが食べたい。今まで食べたパンの中で、やっぱり一番美味しかったので注文してほしい。」と伝言して来たので、とありました。
お母さまの分とご自分のと合わせて、パンを届けて欲しいとのご要望です。

いやぁ、ありがたいですね!
もう最高に元気の出る褒め言葉をいただいて、パン屋をやっていて良かったと思いました。

そうかと思うともうお一人、近所に時々うちのパンを買いに来てくださるおばあちゃんがいます。
このおばあちゃん、どちらかと言うと口当たりの柔らかいパンが好きなので、いつもは行商に回って来るパン屋さんから甘い菓子パンなんかを買って食べているそうですが、そればっかりだとどうも体の調子が悪くなって元気が出ないとか。

そんな時に食工房のパンを食べると、何だか調子が良くなって元気が出ると仰るのです。
ついこの間も、「お宅のパンはモサモサしてかてぇけんじょ(硬いけれど)、これ食べっと元気が出んの。」そう言ってぶどうパンを1斤買って行かれました。

このおばあちゃん、そうやってもう何年もの間、うちのパンをひいきしてくれているのです。
何ともありがたいお話です。


案外こんな喜びの積み重ねが、こうしてパン屋を続けて行ける原動力かも知れないと思います。
これが、パン屋の幸せというものかと。

選別で決まるコーヒーの味

これまでに、コーヒーの味を決定付けるいろいろな条件について申し上げて来ましたが、今回はこれれもまた決定的に重要な条件として、皆さまに知っておいていただきたい項目です。


選別とは、言うまでもなく先日の「カフェクラブの集い」で、ご参加の皆さまが体験されたハンドピックのことです。
<参照>


もう何度も申し上げて恐縮ですが、コーヒーは農産物です。
当然のこととして、出来不出来が生じます。
同じ年度産の同じ生産者の作であっても、収穫された豆の状態がが全部揃っているわけではありません。
これはコーヒー豆に限らず、米麦、豆類、その他あらゆる農産物に共通の性質です。
どんな作物でも、必ず選別工程があります。
一方、コスト削減のために選別工程を省くこともあり、わざわざ無選別あるいは無選果などと表示して、消費者にアピールします。

しかし、コーヒー豆はそうは行きません。


選別の対象となるものを欠点豆と言いますが、欠点項目は13項目にも及びます。
そして、必ずしも生産地で十分な選別が行わるとは限らず、生産地や銘柄によって、欠点混入割合は大きく異なります。
また、保管中に管理が悪くて劣化した場合は、新たに欠点が生じます。

厄介なのは、きれいに選別されていても風味に劣るものがあり、逆に選別不完全なものの中にも風味に優れたものがあることです。
もちろん後者の場合、こちらで再選別した上での話しですが。


コーヒー豆の場合、欠点豆は残しておいて差し支えないというものではなく、確実に風味に悪い影響が出ます。
従って、選別の精度が品質つまり風味の良し悪しを決定付けます。
悪いものは確実に取り除き、且ついいものまで落としてしまわないためには、相当な熟練を要します。
その場合、米麦や豆類、またその他の農産物の状況に経験があるとないでは、選別の際の目利きに大きな違いが出ることは間違いありません。


ちなみに、コーヒー豆の品質に関して、ウォッシュド(水洗式)の方が有利とされ現在の主流ですが、私個人の感想としては、ナチュラルあるいはサンドライと呼ばれる天日乾燥方式の方が、好みにあっています。
ただし、ナチュラルのものは天候の影響を受けやすく、品質にバラツキが生じるので、そのへんは覚悟して付き合わなくてはなりません。

食工房では現在、ナチュラルが3銘柄(いずれもブラジル産)、ウォッシュドが3銘柄(ペルー、グァテマラ、ブラジル産)です。
選別にかかる手間暇は、ナチュラルの方が3~8倍くらい多くなっています。


もう一つ、基本的にほとんどの欠点は生豆の状態で発見していますが、焙煎してから炒りムラやその他の異常となって現れるものが若干あり、焙煎後の選別も欠かせません。

I’m a Farmer!

今日は一日、そんな気分で過ぎました。
しばらく放ったらかしになっていた我が菜園は、夏野菜が終焉を迎えていました。


葉が枯れ縮んで勢いを失った茎には、最後の力を振り絞るようにトマトの赤い実がいっぱい付いていました。
キュウリは、もはや生命を終えようとしているかの如く、ものの哀れと愛おしみを感じさせます。
その一方で、まだまだ成長を続けているサツマイモは、これから土の下でお芋が太ります。



赤い色がとても目立ちます。
よく見ると、まだ青いのもありますね。


 



最盛期には、真っ直ぐでトゲがいっぱいの勢いを感じるキュウリが
成っていましたが、もうこの時期になると形の歪なものばかりです。


 



カボチャは、無難に成功。
カボチャ好きにはうれしい結果となりました。




そうそう、枝豆を期待していましたが、土が合わないのかサヤは沢山ついているのに、中の実がちっとも充実していません。
たまに実が入っているものもありますが、本当にもう探し出さなくてはならないくらい少ないので、あきらめることにしました。
何か原因があるには違いないのですが、まわりの方々も皆口を揃えて「ここは、豆はダメだよ。」と仰るので、来年はどうしたものか思案中です。


今日は、残っていたトウモロコシの茎を全部片付けて、間に生えていた草も取って、冬に向けて保存用の大根と白菜を植える準備をしました。


 



鍬一本の20倍は仕事しますね。
ただし、パワーにものを言わせて横着すると、いい結果は出ません。
「バカとハサミは使い様。」と言いますが、トラクターのバカ力こそ使い様です。


 


遅れに遅れて、手で耕していたのでは間に合いませんので、すぐ隣の畑をやっている兄ちゃんに、トラクターを貸してもらいました。
「えっ、トラクターなんか運転出来るの?」ですって。
出来ますとも!私、運転はもちろん、メンテも修理もドンと来いです。
元々、機械大好き道具大好き人間ですから。
久しぶりにトラクターを動かして、すっかりテンション上がってしまいました。

最後に暗くなるまで残った時間、お礼の気持ちに、草茫々の兄ちゃんの畑の草刈りをしました。
もうちょっと頑張って全部終わらせたかったのですが、暗くなって来たし刃も切れなくなって来たし、途中になってしまいました。(すみません・・・。)

今日の収穫は、カボチャが一輪車に二台分。
トマトが手篭に一杯。
ピーマン少々。
サツマイモの試し掘りで、可愛いお芋さんが少しばかり。
インゲンがいっぱいありましたが、時間切れで手が出せませんでした。