月別アーカイブ: 2011年6月

福島で生きて行くということ・2

今日は、郡山から一組のご家族がいらっしゃいました。
いつもいつも食工房をご愛顧くださっている、親しい方々です。


その方々とお喋りしている中、奥様が、毎日毎日の食材選びに苦労しているというお話しでした。
出来れば放射能汚染の心配のない、関東以西の野菜などを求めたいと思っても、どこのお店に行っても、関東近県か福島県の地元産のものしかないということでした。


本当なら地産地消はうれしい計らいのはずですが、この状況下ではとても微妙です。


こうした消費者の方の心理や動向を、福島県内の農家や私のような加工業者は、よくよく承知しておかなくてはならないと思います。


生産者あるいは製造者として、どんな対応努力をしているかまた検査結果などを包み隠さず提示し、消費者の方々に判断を委ねる態度が、ご信頼をいただくための先ずは第一歩であると思います。


汚染の心配のない遠方の産物だけで食生活を賄おうとしても、実際には手に入り難い状況があったりして、結局は手に入りやすい地場物を食べるより他ないということの方が、多いのではないでしょうか。


だったら避難すれば良いとか、そんな簡単な問題ではないことは、福島に暮らしている私たちなら誰でも、よくよく身に染みて分かっていることです。


だから私はここに居て、少しでも安心して食べられるパンを焼いて、皆さまの食生活に貢献したいと思って頑張っています。


この場所この環境での最善を選び取りながら、納得していただける方々のご支援に支えられながら、やっていけると信じています。


食工房の作業環境および原材料に関する考察


周辺屋外放射線量 0.12~0.16μSv/h 自主測定及び県発表
室内作業環境 0.08~0.09μSv/h 自主測定
水質検査 すべてND(検出限界=0.1~5Bq/kg) 県発表
牛乳検査 すべてND(検出限界=0.1~5Bq/kg) 県発表
小麦粉(岩手県産) 昨年度産のため懸念無し
小麦全粒粉(地元沼ノ平産) 昨年度産のため懸念無し
ライ麦全粒粉(カナダ産オーガニック) 汚染の懸念無し
オートミール アメリカ産 汚染の懸念無し
その他の材料も状況的証拠に基づき、汚染の懸念無しと判断


※水と牛乳については、状況的証拠に基づき、実質ND=0 と判断しています。

楽しみを忘れずにやっております。

毎日のように放射能の話しが続いています。
ずっと頭を抱えっ放しなんじゃないかと思われているかも知れません。
まあ確かに重い毎日ではありますが、何も鬱々としているわけではありませんので、どうぞご安心を。



思った通りの形に焼き上げるのは、とても難しい。
成形の技を磨くためにも、良い教材となります。



買ってね~!


今日も土曜日のパン焼きで、おもしろパンに趣向を凝らしてみました。
一旦始まると次々凝りまくって止まらないのが食工房病とやら・・・。


今日は、スタッフの宮下さんがネコと肉球のセットを発案。
ついでに魚(フグだそうです。)も。


なかなか揮ってますね。


今日のパンは、どれも皆◎でした。


お店にはお客さまも三々五々。
こんな状況下でもこうして仕事を続けられて、本当にありがたく幸せです。




世の中では、もう早や停止中の原発の運転再開の話しが出ていますが、私は、復旧や復興がそういう方向なら、何も元に戻さなくて結構と申し上げます。


ただ単に3月11日以前に復することなど、何の意義も感じません。


それは、いつかまた「第二の福島」が起こる可能性を否定出来ないからです。


何を置いても先ず経済のことを言う論調には、もう辟易です。


これ以上日本をこの国を、壊さないでいただきたい。




ああ、また熱くなっちゃった・・・。

放射能との付き合い方・その1

これからの時代、特に福島の私たちは、皮肉な言い方ですが「放射能を友として」付き合っていかなくてはなりません。


この福島県には、深刻なレベルの汚染を被った地域もあれば、比較的軽いもののそれ故に対応に苦慮している地域まで、様々なレベルの汚染地域があります。


我が喜多方市は、どちらかと言えば軽微な被害と言えますが、そうかと言ってまったく安心というわけには行きません。


それで行政の対応はと言えば、大変深刻と思える福島市や郡山市を含む中通り地区でさえ、見殺しにされている状況ですから、言うまでもなく会津などは何の考慮の対象にもならないでしょう。


まあそれはそれとして、この際私たちは徹底的に自己防衛する以外に選択肢は無いと思っています。


そのためにも役に立つ情報を共有して行く必要があります。


つい先日私の知人は、こんな資料を見つけてくれました。




・食品総合研究所より

東日本大震災に伴い発生した原子力発電所被害による食品への影響について
http://nfri.naro.affrc.go.jp/topics/R_C.html
ここのリンク集から


土壌から農作物への移行
調理加工によるによる放射性核種の除去率
http://www.rwmc.or.jp/library/other/kankyo/


事故前のセシウム濃度の検索
http://psv92.niaes3.affrc.go.jp/vgai_agrip/samples


社団法人 日本土壌肥料学会 の事故関連情報
セシウムの土壌での動きなど
http://jssspn.jp/


などへ行けます。




膨大な数字が並んだ表や学術的な解説は、少々手に負えない感じがしますが、土壌から農作物への移行、調理加工によるによる放射性核種の除去率の項目には、具体的に役に立ちそうなデータも出ていますので、生産者である農家や私のような加工者は、少し頑張って解読したいものです。
一般消費者の方も、もしご興味が湧くようなら、ぜひ閲覧していただきたいと思います。


本当は、汚染の全く無いものだけを食べればいいのでしょうが、実際にはそうは行きませんし、少なくとも私などは、自分の畑で採れた野菜を食べるつもりですし、何から何まで他所から買ったもので賄うことなど出来るわけもありません。


また逆に、敢えて選んで福島の農家の作物を買ってくださる方のリスクを減らす意味でも、これは役に立つ資料だと思います。


まだざっと目を通しただけですが、物にもよりますが思っていたよりも害を受けないで済む道がありそうな気がしています。


行政の対応を待っていたのでは、健康は守れないとの思いから、今後こうした情報の交換、公開をさらにしていきたいと思っています。


もちろんその前に、検査を受けることと結果を公開することは、言うまでもありません。

小麦原穀の確保

今年の小麦がどうなるか、収穫を待って検査してその結果次第です。
もしダメな時は、飯豊山食パンも麦畑通信・136もみのりのパンも全部焼けなくなります。


それではあんまりだと思っていたところ、近隣の有機農家さんから昨年度産の小麦があるので使って見ませんかとご案内をいただきました。
収穫直後から低温貯蔵庫に保管されているとのことで、もちろん無農薬有機栽培で品質も万全です。
これをとりあえず60kg確保いたしました。


これで数か月は持ちそうです。


もし今年の小麦とライ麦がダメな時は、来年用の種も無いことになりますので、本当に大変なことになります。


農家の仕事は、来年再来年の為に今が重要ということが沢山ありますから、ダメかもしれないと思っても田畑を維持するために作付けだけは、いつも通りにやっている所がほとんどです。


これから次々と収穫の季節がやって来るのですが、先を考えると憂鬱で仕方が無いと、その農家さんも漏らしていました。


1束100円かそこらでしか売れない小松菜のために、1万円の検査代がかかるという理不尽さを、どこがどうしてくれるのかくれないのか、未だに何の目途もありません。


食工房も、小麦とライ麦の検査代合わせて3万円をどうしようかと、今から頭を悩ませています。
先日は放射線測定器を買ったばかりだし、会津は下手をすると補償の対象から外されるかも知れないし、否、だから今のうちからしっかりと声を上げておかなくては・・・。


ちょっと愚痴っぽい話しになりましたが、これが今の食工房と周りの農家さんたちの置かれている現状です。

NDの意味

この前、牛乳の安全について確認し、ND(不検出)であったことをご報告いたしました。 <参照>
今日は、このNDについてさらに詳細に説明を申し上げておきます。


NDは、No Detected(検出せず)の略語です。
ここで重要なのは、ND=0ではないと言うことです。


どういうことかと言うと、測定に使用する機器にはそれぞれ性能があり、検出限界というものがあって、それ以下になると検出不可能になります。
これをND(不検出)と定義しているのです。
理屈から言っても、0のものを計ることは不可能ですから、NDはある値以下と理解しなくてはならないわけです。


そこで重要になるのが、測定器の検出限界です。


実は私、そのあたりを勘違いしていて、NDは限りなく0に近いと考えて差し支えないものと理解していました。


今日は、県の環境保全農業課というところに電話して、このことについて質問いたしました。
その結果、測定限界は0.1 ~ 5.0Bq/kg であるとのことでした。


先ずここまで聞いて、私は納得出来ると判断いたしました。


基準の厳しいドイツの例でも、食品の汚染は8Bq/kg以下となっているそうですから、この検査でNDなら、それ以上は望みようがないと思っています。
むしろノーチェックの他県産より安心なのではないかとさえ思います。


どの道、0であることは証明し様が無いこと、それからこの前も申し上げた通り、放牧を禁止していること、飼料は全て輸入飼料に替えていること、水の汚染は心配が無いことなど、これらの条件からして、実質0と考えて差し支えないと判断しています。


どうぞ皆さま、福島県産であるということで、十羽一絡げに短絡的なご判断をされないようにお願いいたします。
それぞれ個別に、安全安心に取り組んでいますので、評価もそれぞれについて個別にお願いいたします。


食工房では、引き続き「会津のべこの乳」を原材料として使用いたします。

カリーマサラ、楽しんでください。


今日もスパイスの香りに咽ていました。



100g×225袋 22.5kgでした。


昨日調合したカリーマサラ、今日は袋詰めをいたしました。

早速お待たせしていたお得意さまのところへ5袋、宅配便にて発送申し上げました。


このところ急に暑くなったりして、辛みの効いたものがいいですね。


以前からこのブログをご覧になっている方は、もうすでにご存じと思いますが、カリーソースの作り方の記事が沢山あります。


例えば <こちら> からいろいろご覧いただけます。


おいしいものをつくるのは、本当に楽しいですからね。
体も心も、元気が出ます。


放射能と闘うには、エネルギーが必要ですから・・・。


しっかりと自分自身を養うことに、留意したいと思います。


さてさて、今週も無事に終わりました。
沢山の方のご来店、ありがとうございました。
明日と明後日、定休日です。




  今週のクッキーとマフィンのおしらせ


今週は、くるみびすけっとのみ焼きました。
森のパン屋のビスケット、パタポン、ジンジャークッキー、どろんこクッキー、ナッツクッキーなど在庫があります。


マフィンは、ココリスとスィートハートの二種類です。

カリーマサラ・2011


スパイスの種類、分かりますか?
クミン、フェンネル、コリアンダー
それから、それから・・・・・・・・・・・
 



辛み成分は、ブラックペッパーにホワイトペッパー
では、下のフワフワは何でしょう・・・・・?
 



 オーブンでサウナした後、製粉機で粉に挽きます。
この頃から、くしゃみが頻繁に出るように・・・・・・・。



最初から粉になっている物もあります。
マスクをして、ゴーグルもして、計量そしてふるい。
 



全て揃ったら、大ミキサーで攪拌混合します。
完成したばかりのカリーマサラ、約20kg。
 


パンと焼き菓子、コーヒー焙煎、そして食工房のもう一つの得意技が、スパイスワークというわけです。
中でもカリーマサラは、私が若い頃から半生をかけて情熱を傾けて来た、趣味でもあり仕事でもあります。
スパイスは、本当に面白いです。
おかげさまで、食工房のカリーマサラは、多くの方々からご好評をいただいています。


今日は、若い頃に15年間かけて練り上げたいつものレシピに、2011年バージョンの微調整を加え、前回よりさらに量を増やして完成量20kgほどのカリーマサラを調合いたしました。
これだけの量のスパイスを扱うのは、はっきり申し上げて痛快です。
何とも例えようの無い楽しい仕事です。


明日まで一日置いて熟成を待ち、袋詰めします。


皆さまに、手づくりのカレー料理を楽しんでいただくために、大変融通の利くレシピとなっています。
ほとんどどんなカレー料理にもマッチします。
ぜひぜひ、お試しください。


 100g1袋・カリーソース60皿分 900円 となっております。

※今回、スパイスの仕入れ価格が大幅に上昇したため、製品の価格も値上げさせていただきました。




  原子力災害関係の資料


福島第一原発事故タイムライン(主要イベント時系列)


3月11日の地震発生と同時に始まった、福島第一原子力発電所の事故の状況、周辺への放射性物質の放出、汚染の拡大状況などを時系列にまとめた、貴重な資料です。
当時のアメダスによる風と降雨のデータ、それを基に作成されたSPEEDIの画像も併せて見ることが出来ます。


福島第一原発 緊急事態 大気放出に係る事故解析


株式会社・ヴィジブル インフォメーション センターが作成した、放射能の拡散状況を可視化した貴重な資料です。
3月12日から3月31日までの、1時間毎の汚染分布をみることが出来ます。


この二つの資料と、福島県が発表している県内各地の環境放射線量データを対比することにより、当時の私たちがどのようなリスクに晒されていたかを、詳細に知ることが出来ます。

クッキー類揃う


ずっとガラガラの時が続いていたので、特別嬉しい瞬間。



たまねぎ感大幅アップ・お食事用にどうぞ



今日は、ピストーラも美しい形に・・・。


今日は、パンの他にくるみびすけっとを焼いて、これでクッキー類全品が棚に並びました。
最近では滅多に無い、珍しい瞬間です。


このところ気温が急上昇で、パンや焼き菓子の売れ方が少し鈍っていたのも、一つの理由ではあります。


滅多に無いことなので、写真を撮って置くことにしました。


酵母菌は相変わらずいい調子で、パンの出来も上々です。


ここしばらく毎週たまねぎパンを買いに来てくださるご常連さんも、今日は娘さんとお二人でいらっしゃいました。


さて、クッキー類が揃ったところで、明日明後日の二日間かけて、スパイスワークです。
品切れさせたままになっていた、カリーマサラを造ります。


いろいろと多チャンネルパン屋の食工房です。


明日のブログで、秘密のレシピの一端が垣間見えるかも・・・です。

手応えを感じる時

個人事業主として小さな商売をしていて、仕事への意欲はどこから湧いて来るかと言えば、それは一つには売り上げがどんどん伸びることですが、それ以上にやる気になれる時というのは、お客さまに喜んでいただけたということが、はっきりと分かった時です。


直接ご本人の口からお褒めの言葉をいただくことは、もちろんうれしいに違いありませんが、例えば知らないうちに知らない方のブログで話題にしていただいていたことが、偶然分かった時など、大海原のただ中に突然椰子の木茂る小島が連なっているのを見つけたような(私、航海の経験はないのですが・・・、それでも)、そんなうれしい驚きを味わいます。
そして、とてもとても意欲が高揚して来るのです。


前置きが長くなりましたけど、<こちら> をご紹介したかったのです。


プンパニッケルのおいしい食べ方、また一つ学びました。


hamayoさん、ありがとうございました。


ところで、時にはこうした例の逆のこともあり得るわけです。
知らないうちに不評を買っていたことが後になって分かる・・・。


それはもうショックなことには違いありませんが、そんな時は先ず、自分に怠慢はなかったか、慢心や油断はなかったか、そこを一番に反省します。


そういう意味では、お叱りも不評も、良い教材だと考えることにしています。


すべては善きことのためにのみ計らわれている。
そう信じて生きています。


今日は、スコーンとマフィン、明日はまたパン焼きです。


飯豊山に、一切れ100mずつ登れる「みのりのパン」も焼きます。
そしてこのところ大好評の「たまねぎパン」も。


それから明日は、クリングラをお休みしてカネリプッラ(シナモンロール)を焼きます。


ご来店、お待ちしております。

今日も酵母は絶好調

毎週木曜日のパン焼きです。
この季節は、酵母菌にとって秋と同じくとてもいい条件です。
とにかく勢いがいいのです。


おかげさまでこの頃、また一段とパンの形がきれいになったような気がしています。
 
 写真、撮っておけば良かった・・・!


今日は、先日の「食工房のパンだより 63・青嵐号」紙上でお知らせした、おもしろパンの中のカエル・おたまセットを2組、ご注文をいただいて造りました。


手間はかかりますが、喜んでくださる方のお顔を想像しながら造りました。
こればっかりでは大変ですが、たまに一つ二つなら喜んでやりますよ。
どうぞよろしく。


このところ放射能の話しばっかりですが、ちゃんと毎日食工房の仕事をしています。
以前よりも気持ちを込めて仕事が出来ている、そんな気がするくらい・・・。


如何にしてこの福島で、放射能汚染の心配をする必要のない安全な食べ物が造れるか、食工房も生産農家も毎日心を砕いています。